次の選挙後、訪れる「中国との戦争」


2005年に日米で合意された米軍再編の中で、南西諸島は米軍ではなく自衛隊が守ることが合意されている。

米側が担う「支援」の具体例として「監視、補給、技術指導」を挙げている。

マクデビット氏は、米政府が尖閣諸島を日米安保条約の対象だと公式に説明したことに触れ、「米国はこれらの島をめぐる防衛では日本側を『支援する責務』がある」と述べた。
尖閣問題で「米政府は無人の小島のことで中国軍と銃弾を交えることは強く避けるべきだ」との見解を示した米海軍分析センターのマイケル・マクデビット上級研究員(元海軍少将)は米側が担う「支援」の具体例として「監視、補給、技術指導」を挙げている。

<沖縄基地の虚実2>自衛隊まず対応 米軍は「支援」「補完」

日本を犠牲にする米軍新戦略 辺野古はその最前線基地/伊波洋一(元宜野湾市長)

2016/1/24 コモンズ
http://com21.jp/archives/10777

2005年に日米で合意された米軍再編の中で、南西諸島は米軍ではなく自衛隊が守ることが合意されている。だから、沖縄本島、宮古島、石垣島、与那国島など南西諸島に自衛隊基地建設着々と進められている。そしてそこで「離島奪還作戦」の訓練が行われている。「奪還」とは占領された事が前提、つまり南西諸島が戦場となる事を想定している。

「戦場」とする予定の沖縄から撤退を続ける米軍

 2006年に米軍の合理化と合わせて8000名の兵士と9000名の家族をグアム移転することになった。さらに2012年には兵士の移動を9000名に増やした。最終的には沖縄から海兵隊は全部いなくなるだろう。なぜなら、「戦争になった場合には沖縄と日本を戦場にする」予定であり、戦場に海兵隊を置いておくわけにはいかないからだ

 マイケル・アマコスト元米駐日大使は6月23日の朝日新聞のインタビューに対して、海兵隊の沖縄駐留は死活的に重要なものではないと言っている。もし事故が起きれば日米関係が壊滅的な影響を及ぼすが、毎年2機くらい落ちているオスプレイが毎日宜野湾市の住宅密集地を飛んでいる。沖縄の反対運動は全選挙区の国会議員、知事、名護市長が反対する広汎なものとなっている。それに比べて海兵隊の戦略的意義はどれほどあるのか、また海兵隊はグアム、オーストラリア、フィリピン、ハワイ、米西海岸へ移転すべきだと答えている。同じ事が9月米議会の報告書でも書かれており、基地建設強行に対する懸念が米議会にも生まれている。

 海上自衛隊幹部学校「戦略研究」が2011年5月に紹介した米軍「エアシーバトル戦略」に関する論文では、日本の米軍基地は同盟国の保障を提供するものであったが、中国の軍事能力が高まり、現在では日本の米軍基地は中国のミサイルの射程の中にあり防ぎようがない。それでエアシーバトル戦略についての有効性が議論されている。

 その背景には1997年12月に米連邦議会に設置された国防委員会の提言がある。そこでは「前方展開基地(沖縄など)に対する脅威は確実に増大し2010年から2020年のあいだに現実のものとなる」とした上で、新たな技術と軍の運用によって中国に対する優位性を確保するように求めている。
 その結果として現在の米軍再編がある。その再編とは、世界に散在している米軍を特定のエリアに集中し動きやすくするものである。沖縄海兵隊のグアムへの移転はその一環としてある。

エアシーバトルからオフショアコントロールへ

日本全土を「戦場」にしてアメリカを守る新戦争計画

米軍戦略に基づくヤマサクラ演習(沖縄は壊滅)

米軍戦略に基づくヤマサクラ演習(沖縄は壊滅)


 そして中国からの先制攻撃が行われたら、米軍はまず第一段階で日本から逃げる。中国のミサイル攻撃圏外のテニアンやサイパンへ退避し、第二段階で制空権を琉球列島ラインまで拡大し、それから初めて中国を攻撃する。次の段階では日本本土での戦争が始まる。
 この構想に基づいた日米共同演習がこれまで何度も行われている(通称「ヤマサクラ」)。アメリカが作った戦争計画に基づいて自衛隊は演習をやっている。

 そしてこの戦略は、エアシーバトル戦略から新しい戦略へと変わりつつある。「アメリカ流非対象戦争」戦略という新しい戦略のもと、「オフショアコントロール」によって米軍ではなく自衛隊が南西諸島一帯にミサイル基地を配備し、中国艦船を攻撃する態勢へと構築しつつある。この戦略は米中が全面戦争や核戦争にエスカレートさせないように、その前の段階で終わらせるため、米中両国を戦場しないことを前提に、その代わりに日本を戦場として戦う戦争戦略である。

 安倍総理は2013年9月、ハドソン研究所での演説で琉球諸島の軍事化を示唆し、集団的自衛権の容認、安保法制強行可決と進んできた。そして先島諸島での自衛隊による離島奪還訓練や、宮古島への地対艦ミサイルが配備され、タイヤ付きの島内高速移動可能な戦車が生産され、配備されることになっている。そういう戦争が行われようとしている。

 日米安保は米軍が日本を守るんじゃなかったのか? 日本を戦場にしアメリカは安全地帯に逃げるという戦略を日本に隠しながら、それに基づいた配備が着々と進んでいる現在、私たちは自分たちの国を自分でなんとかしなきゃならないだろう。